社会人になって英語をゼロから身につけようと思った時、あなたならどんな方法を選びますか?
まずは文法の復習?それとも英会話スクールに通って会話の練習をする?
どれも英会話の習得に必要なことですが、やり方によっては効果が出なかったり、大きな回り道をすることになってしまいます。この記事では英語初心者がやってしまいがちな勉強法とその解決策を紹介します。
タブーその①…英単語を単体でひたすら暗記している
学生時代には受験やテストのためにひたすら単語の味やスペルを暗記した人も多いのではないでしょうか。私はひたすらノートに書いたり暗唱してみたりしていました。
機械的に単語だけを覚えていた学生時代の単語勉強法は、大人の英会話学習に有効な方法とは言えません。
なぜなら単語のスペルと意味だけを覚えていても、実際に使う時にうまく使えない場合があるからです。
単語のスペルと意味だけを覚えるのがNGな理由 ①前置詞や目的語など他の要素が必要な場合がある。 (例)I go to London. (私はロンドンへ行く) / I visit London. (私はロンドンを訪れる) go はtoの前置詞が必要ですが、visitはなくてOKという違いがあります。 ②発音をきちんと覚えていないと、会話で通じないことがある。 (例)iron:鉄、アイロン →発音は「アイアン」 日本語だと服のシワを伸ばすのはアイロンですが、英語だと発音が違うので通じません。
タブーその②…リスニングをする時、ただ聞き流している
巷では「聞き流して英語を習得する」という方法もあるようですが、単に聞き流しているだけでは耳の訓練としてはあまり効果がないでしょう。
意識せずに聞いていたのでは、どのくらい聞こえるか、どんな言葉が聞こえないかわかりません。聞いた後に理解度を確認する必要があります。
そのため、リスニング練習には必ずスクリプト(読み上げる英文の内容)がセットになっているものを選びましょう。
リスニングの流れ
①まずはスクリプトを見ずに何度か聞く。
②どれくらい聞こえるか確認する。
③どうしてもわからないところがあったらスクリプトで確認する。
④スクリプトを見ながら聞いて、自分でも読んでみる。
また英語では音がつながったり、発音されないことがあるので、慣れないうちは聞こえないことも多いと思います。短い文を繰り返し聞いているうちに英語独特のリズムに慣れてリスニングがしやすくなってきますので、徐々に英語が聞けるよう耳を育てていきましょう。
タブーその③…自分のレベルに合わない勉強をしている
大人が英語を勉強し直したいと思った時、どこまでのレベルを想定するでしょうか。
気合いを入れていきなり難しすぎる教材で勉強したり、2時間超えの映画を字幕なしですべて理解しようとして挫折・・・など、ハードルを上げすぎていませんか?
将来的にはこのような教材や映画も効果はありますが、これらは初心者のレベルに合っているとは言い難いでしょう。
語学のレベル評価にはCEFRというヨーロッパ発祥の外国語の能力評価指標が世界共通で使われています。A⇨B⇨Cとレベルが3段階あり、その中で1⇨2と分かれています。A1が一番下でC2が一番高いレベルとなります。
ケンブリッジ大学のサイトには無料の英語レベルチェックがあり、結果はCEFRのレベルに基づいて出されます。25問の選択式問題で結果はすぐに表にされます。
CEFRのレベルとできること
A1は中学卒業程度、A2が高校卒業程度のレベルだと言われています。ただしこれまで英会話を学んできていない世代では読み書きなどがそのレベルに達していても、会話がまだまだ追いつかないというのが現状です。
資格として人気のTOEIC L&Rは「話す」「書く」というアウトプットが含まれていないため、たとえ点数が高くても英語が話せない人がいるというのは不思議なことではありません。
英語を勉強し始めたA1、A2レベルでは簡単な語彙や文法で身の回りのことが言えるようになるようにすると良いでしょう。そこから徐々に語彙や日常表現を増やして言えることを増やしていきます。
タブーその④…復習せずどんどん進み、勉強したことを忘れている
英語の勉強をする時、新しいことをどんどん覚えるのに忙しくて復習の時間を取ることを忘れてはいませんか。
毎日単語や文法を10個覚えていくとしたら、翌日それらをどれくらい覚えていられるでしょうか?
私は3,4個思い出せないこともザラでした。
記憶には短期記憶と長期記憶があります。短期記憶は覚えたことを一時的にストックするだけなので、すぐに忘れてしまいます。
ドイツの学者・エビングハウスによると、学習した内容は時間とともに忘れていき、その割合は以下のように言っています。
1回だけ勉強した時の記憶定着率
20分後 58%
1時間後 44%
1日後 33%
7日後 24%
1ヶ月後 21%
対する長期記憶は長期間記憶に残りますが、脳が必要だと判断した生命維持に関わる重大なことしか記憶できません。
何度も同じ情報を繰り返し覚えようとすれば、脳が「これは重要だ」と判断し長期記憶にストックしようとします。これは復習なしでは成り立ちません。
単語の勉強サイクル
前日の復習→忘れた単語の覚え直し→新しい単語を覚える→1週間分の復習をする
新しい知識を吸収しても、どんどん忘れてしまったら、後でまた全部やり直し無駄な時間がかかります。定期的に復習して知識を定着させるのが、学習を効果的に進めるポイントです。
タブーその⑤…英会話のレッスンだけで満足し、自分で勉強していない
「英会話スクールに何年も通ってるんですが、全然話せるようにならなくて」
という話を一度は耳したことがあるのではないでしょうか。
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。
原因1:インプットが足りないため話せず、聞くだけになっている 原因2:自分で復習や練習をしていない
インプットとアウトプットについてはこちらに書きましたが、まず自分の中に話すべき内容が入っていないと言いたいことを表現するのは難しいでしょう。
原因2については、日本語と英語は言語の種類が大きく違うため、言語学的には習得に時間がかかるとされています。日本人が英語を流暢に話せるようになるには、2200時間必要と言われています。
「流暢でないけど英語が話せる」という状態になるまでの時間はこれより少ないとはいえ、中学や高校、受験などで1000時間程度は勉強しているとしても、圧倒的に時間が足りないことは確かです。
では、もし週に1回1時間、英会話スクールに通ったら、1年間のレッスン時間はどれくらいになるでしょうか?
1時間×52週=52時間
えっ!? たった2日ちょっと!?
英会話スクールやオンライン英会話をする場合は、レッスン時間だけでなく授業以外の時間に自分で時間を作って予習し、レッスンはアウトプットの場として活用するのが効果的です。
受動的にレッスンを受けるのではなく、自発的に学ぶことで、どんどんスキルアップすることができるでしょう。
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