イギリスには日本と同じように四季があります。冬は寒くて日が短いので、気候が良く日が長い夏は旅行のベストシーズンと言われています…が、ここ数年は異常事態が発生しています。
猛暑で気温が摂氏30度を超える日が続いたり、2022年7月にはとうとう40度にまで達してしまいました。一体何が起こっているのでしょうか。またイギリス人はどのようにこの猛暑を乗り切るのでしょうか。
イギリスの平均気温は何度くらい?夏は暑い?
イギリスは寒い国という印象があるかもしれませんが、これは北部の話で、南部にあるロンドンの気温は夏以外、東京と大きくは変わりません。イギリスの夏の気温は14〜20度くらいで過ごしやすく、最も暑いのが7月と8月です。年中雨が降っているので雨がちな国という印象があります。
ロンドンの月間平均気温(1950 – 2017年)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
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昼 | 6℃ | 7℃ | 10℃ | 13℃ | 16℃ | 19℃ | 21℃ | 21℃ | 18℃ | 14℃ | 9℃ | 7℃ |
夜 | 1℃ | 1℃ | 2℃ | 4℃ | 7℃ | 10℃ | 12℃ | 12℃ | 10℃ | 7℃ | 4℃ | 2℃ |
ロンドンの月間平均気温と降水量(1950 – 2017年)
夏の日中最高気温は27度くらいまで上がることがありますが、30度を越すことは稀でした。しかし地球温暖化により最高気温が更新されつつあります。私は少なくとも2回、ロンドンで猛暑を体験しました。
一度は2015年にイギリスに住んでいる時で、7月に気温が30度以上になりました。
2度目は2018年の7月下旬から8月初頭に2週間ほどイギリス旅行した時です。その年は熱波がヨーロッパを襲い、気温上昇だけでなく深刻な水不足や山火事を引き起こしました。
芝生はすっかり枯れて茶色く乾燥し果て、本来の美しい緑色を失ってしまいました。これはロンドン近郊の農園ですが、アヒルたちも暑そうにしていたものです。(特に写真の下部に写っている子、大丈夫でしょうか??)
通常は青々とした芝生がみずみずしく青空に生えるのがイギリスの夏の風景なのですが、30度を超える熱波が続くと、芝生までを干上がらせてしまいます。
イギリスの最高気温トップ10と気温上昇によるトラブル
イギリスの最高気温トップ10
2022年は北アフリカからの熱波がヨーロッパ全土を襲ったため、猛暑に見舞われる夏となり、なんと7月19日には観測史上最高温度の40度に達しました。猛暑警戒の非常事態宣言も発令され、不要不急の外出を控えるよう人々に呼びかけました。
40度!?
イギリスが東京より暑いなんて信じられません。ここまで暑いとどのような問題が発生するのでしょうか。
トラブル1:交通機関への影響
熱で飛行機の滑走路や道路のアスファルトが溶けたり、鉄道のレールが曲がったりしたため、運休や間引き運転などで人々は混乱し、公共交通機関に大打撃を与えました。
トラブル2:人々の健康面への影響
エアコンがない建物が多いので、人々が体調不良に陥ったり死に至る場合も。私の婚約者のお母さんはロンドンから2時間ほどの場所に住んでいますが、暑すぎて庭に短時間いるだけでも肌が焼けて干上がりそうなほどだと言っていました。
暑すぎて学校では授業ができないと判断し、171校が休校に踏み切ったり、病院でも緊急性が低い手術が延期になったりしました。
トラブル3:火災発生や水の事故の増加
山火事だけでなく、ロンドンの草むらで火災が発生したり、敷地内の草が燃えて住居に燃え広がったりしため、消防隊員は大忙しとなりました。また川や池などでは少なくとも10人以上が水死しています。
猛暑や熱波って英語で何ていうの?夏に関する英語表現
夏に関する単語 夏休み:summer holidays(サマーホリデー) I'll go on a trip during the summer holidays. 夏休みに旅行に行くでしょう。 夏が来た:Summer has come. / Summer is here. 蒸し暑い:It's humid.(ヒューミッド)/muggy(マギー) 汗をかく:I sweat.(スエット) 熱中症になる:I have a heatstroke.(ヒートストローク) 暑さに関する単語 焼けるような暑さ:burning hot(バーニングホット) It's burning outside! 外は焼けるように暑い! 猛暑・熱波 :heatwave(ヒートウェーブ) We have a heatwave. 熱波が来ている。 夏の挨拶(別れ際やメールの最後に) 涼しく過ごしてね:keep cool / stay cool
人々はどうやって暑さを凌いでいるの?
イギリスのほとんどの家にエアコンがないこと、家や建物は冬の寒さを防ぐように作られていることから、夏の猛暑日の室内は暑くてたまりません。しかし、外もまたしかり。天気がいいと容赦なく日差しが照りつける上、夜9時くらいまで明るいので、逃げ場がありません。
人々は涼を求めて公園の木陰で休んだり、パブで一杯ひっかけたりします。
また海や川では水浴びや海水浴を楽しむ人の姿も見られます。私は日中は暑すぎて外にいるのに難儀して、パブに避難したり美術館やデパートで過ごしたりしました。
冬は日照時間が少なく雨が多いイギリス人にとっては、夏は日光浴の絶好のチャンスです。猛暑でなければ人々は庭や公園で日光浴をしたり、レストランのテラスで食事を楽しんだりします。
しかし、ここ数年の猛暑においては話が異なります。イギリスの夏はそこまで暑くならないし、なっても1〜2週間程度のため、イギリス人は暑さにあまり慣れていません。うかつに外で日光を浴びすぎると命の危険もあるため、イギリス政府は猛暑非常事態の警告を発令することもあります。
熱波に襲われた2018年の夏、私はロンドンにAirbnbで一室を借りて滞在していました。部屋には当然クーラーがなく、窓も少しか開かないようにできているので風通しが悪く、暑くて寝苦しかったものです。
ちなみに今年は扇風機が飛ぶように売れているそうです。
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